ひじきに鉄分はない?製法によって変わる鉄分含有量の真実とは
- さかえる
- 8月6日
- 読了時間: 3分
更新日:10月4日

「ひじきは鉄分が豊富」というイメージを持っていませんか?実はこの常識、現代の製法では必ずしも当てはまらないのです。
この記事では、実際にひじきを収穫、加工販売しているひじき漁師が、ひじきと鉄分の関係について、製造工程の違いからわかりやすく解説し、鉄分を摂りたい人にとってどんな「ひじき」を選ぶべきかをお伝えします。
【結論】今のひじきには鉄分がほとんど含まれていない
市販されている多くのひじき商品には、実は鉄分がほとんど含まれていません。これは、ひじきの栄養価が減ったのではなく、製造工程が変化したことが大きな理由です。
昔のひじきが「鉄分豊富」と言われていた理由

かつて、ひじきは鉄製の大釜で煮る(湯がく)のが一般的でした。この工程で、鉄鍋から鉄イオンが溶け出し、ひじきに吸収されることで、結果的に「ひじき=鉄分豊富」という評価が定着したのです。
このような製法で作られたひじきには、実際に100g中40mgを超える鉄分が含まれていたというデータもあります。
現代の製法はステンレス釜が主流。なぜ変わったの?
しかし現在、多くの生産者は鉄釜ではなくステンレス釜を使用しています。その理由は以下の通りです
鉄釜は錆びやすく、メンテナンスコストが高い
ステンレス釜は衛生的で耐久性がある
生産効率・コスト面で現代的ニーズに合っている
ステンレス釜からは鉄分が溶け出さないため、当然、ひじきに鉄分は含まれなくなります。
実際にどれくらい鉄分が違うの?


文部科学省の「日本食品標準成分表」では、かつての鉄釜製法で製造されたひじきをもとに鉄分含有量が記載されていたため、誤解が広がりました。2020年版では、「鉄釜で製造された場合」と「ステンレス釜で製造された場合」の鉄分量が明確に区別され、以下のように修正されました。
つまり、製法の違いだけで10倍近くの差があるということです。
「鉄分補給にひじきを」は正しい?栄養バランスの視点で考える
現在のひじき(ステンレス釜)では、鉄分補給の効果は期待できません。しかし、ひじきには他にも大切な栄養素が含まれています。
カルシウム:骨や歯の形成に必要(100g中約1400mg)
マグネシウム:代謝を助ける(100g中約520mg)
食物繊維:腸内環境の改善に効果的(100g中約43g)
鉄分は少なくても、ひじきは栄養豊富な海藻であることに変わりはありません。
本物の鉄分ひじきを選ぶには?「鉄釜製法」に注目

鉄分豊富なひじきを求めるなら、鉄釜製法で作られたひじきを選ぶ必要があります。
ただし、現在は鉄釜を使用している生産者は非常に少なくなっており、市場に流通している大半はステンレス釜製法です。ぜひ生産工程を食卓の話のタネにご覧ください。
沖家室ひじきは、鉄釜製法を続けています。
そんな中、私たちは今もなお、鉄釜を使った伝統製法を守ってひじきを製造しています。
手作業・鉄釜仕込みの本物のひじき、ぜひお試しください。コストがかかる分値段も相応にしますがその分「え、これがひじき?今までのひじきはなんだったのだろう」となること間違いなしです。
まとめ|ひじきに鉄分があるかどうかは「製法次第」

「ひじき=鉄分豊富」はすべてのひじきに当てはまるわけではないということを、ぜひ覚えておいてください。そして、鉄分を意識するなら製法にも注目してひじきを選んでいただけたら幸いです。











